最終更新:2024/07/04
美容室・ヘアサロンに関する薬機法 広告表現で「抜け毛改善」はOK?
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日頃、抜け毛改善の育毛剤や、育毛成分入りのシャンプーなどよく目にします。
育毛剤は、薬機法では医薬品、医薬部外品、化粧品のどの分類になるのか、効能から考えると難しいところにある商品ですが、医薬部外品に該当します。
医薬部外品の場合、広告表現はどこまでOKなのか、化粧品の場合の類似表現についてなど解説していきます。
美容室、サロンの広告は、医薬品広告適正基準の広告表現で注意が必要な点があります。広告表現の参考にしていただければと思います。
薬機法とは
医薬品、医療部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品について安全性と、体への有効性を確保するための法律です。
危険で拡大防止の必要があるものは規制し、消費者の安全を守り、保健衛生の向上を目的としています。医薬品等の製造、販売、広告する際に、この法律に則ったものにする必要があり、それぞれ細かく定義されています。
-対象-
- 医薬品(疾病の診断、治療又は予防に使用されるもの 風邪薬、鎮痛剤等)
- 医薬部外品(効果が医薬品より緩和なもの 育毛剤、薬用入浴剤、うがい薬、保健上の動物の駆除剤等)
- 化粧品(コスメ類、シャンプーリンス、歯磨き、石鹸、香水等)
- 医療機器(血圧計、体温計、補聴器、AED等)
- 再生医療等製品(人又は動物の細胞を培養して加工を施したもの 皮膚再生用品)
医薬部外品では「抜け毛改善」という効果は、認められている効果です。医薬部外品の定められた効果の範囲内で、医療的な効果効能を表示できます。
化粧品では、「抜け毛改善」は広告で表示できません。その効果についての根拠が必要となり、根拠がある場合は医薬部外品、医薬品に該当します。
「抜け毛改善」とは?
抜け毛改善は医薬部外品であるか、化粧品であるかにより薬機法に抵触する範囲が変わります。
- 医薬部外品の定義
この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止 ロ あせも、ただれ等の防止 ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145
医薬部外品は、作用が緩和なものであり、医療機器でないものとされています。医薬部外品に該当するものは、薬機法の説明欄に記載した通り多数の種類があります。
(ハ)のように脱毛に関して記載があるので、抜け毛改善も認められています。
- 化粧品の定義
第二条三項 この法律で、「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされるている物及び医薬部外品を除く。
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145
化粧品は、清潔に保ち容貌を美しく見せるもので、こちらも人体に対する作用が緩和なものと記載されています。化粧品の効能効果の範囲に、抜け毛防止の効果は含まれていないので、広告することはできません。
薬用化粧品の表示 化粧品との違いは、認められた有効成分を含んでいるかいないかの違いで、この有効成分が含まれている薬用化粧品は医療部外品に分類されます。医薬部外品の中でも本質が化粧品的なものが薬用化粧品といわれます。 あくまで化粧品ではないのかと誤解されやすいですが、容器や外箱に医薬部外品と表示されています。薬用化粧品は、抜け毛改善の広告表示が可能となります。
「抜け毛改善」でよく見られる広告表現。薬機法との関連性
抜け毛自体は、体質、遺伝の問題や生活習慣との関りがありますが、抜け毛改善するためには、頭皮の血行を良くして、毛髪の成長を促す必要があると言われます。
このことから抜け毛改善は、身体の機能に影響があります。
よく見られる広告としては、「ぐんぐん発毛促進」「気になるところにシュッとするだけ」「ボリューム実感」など様々です。これらは医薬部外品として使用可能な表現です。
医薬部外品の育毛剤(養毛剤)の効能効果の範囲
使用目的 : 脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤である
剤型 : 液剤、エアゾール剤
効能又は効果の範囲 : 育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛
医薬部外品では、効能効果の範囲がこのように定められています。この範囲の中での広告表現は薬機法で認められてます。この範囲から逸脱した表現になると、主に、第六十六条の誇大広告についての規制に違反してしまうことになります。
化粧品での違反例
- 抜け毛を抑えるシャンプー
- 頭皮の血行促進作用
- 薄毛の悩みを解消
化粧品を医薬部外品の効能効果で表現しているので、NGです。化粧品の効能効果の範囲で表現しなければいけません。また、医薬品的な表現ととれるものもNGです。
化粧品の効能効果の範囲と定められているのは56項目。
その内、毛髪に関する効能は16項目あります。この効能の範囲で表現する必要があります。
化粧品の効能効果の範囲
(1)頭皮、毛髪を洗浄する
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快感を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、頭髪にうるおいを与える。
(6)頭皮。毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)毛髪を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
言い換え表現(参考)
- 髪を補修し、頭皮、毛髪をすこやかに保つ
- トリートメントで髪にツヤを与える
- 美しく髪を整え、保持する効果
化粧品の効能効果の範囲から、言葉を使用した参考例です。
化粧品の場合は、抜け毛という言葉を使用できないので、髪を健やかにするという表現になります。
頭皮への効果や、髪内部組織を改善するような効果は認められていないため、基本的には、髪の表面的な補修、より良い状態へ導き保つという効能範囲となります。
美容室、サロンでの違反例
美容室やサロンと薬機法が大きく関わるのは、お店で商品の販売をする場面です。
ヘアケア商品などを美容師が推薦して広告することは認められていません。
医薬品広告適正基準で、保証表現について定められています。
10医薬関係者等の推せん医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している広告を行ってはならない。ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りではない。
出典:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf
特に、国家資格を有する美容師の推薦は消費者の認識に与える影響が大きく、効果や安全性の保証と捉えられるため行ってはいけません。
広告に関わるのがNGの人は、医師、看護師、薬剤師、病院・学校等の団体や法人、大学教授など権威性のある肩書を持つ人です。
- 美容師がオススメするシャンプー
- 医師も納得の○○効果
- 皮膚科医も愛用中
これらの表現はNGです。
「指定、公認、推薦、選んで使っている」など使用不可です。広告に医師などの該当者が愛用している、病院で使われているという表現もNGです。
言い換え表現(参考)
- 美容家おすすめのコスメ
- インフルエンサーが愛用中
- 美容師と共同開発(事実に基づく)
その分野に詳しい専門家や、美容家、インフルエンサーなどが推薦する場合は、広告が認められる場合があります。ただし、個人が保有している資格の関係や、その人物が消費者に与える影響が大きいと判断される場合は違反となるので、注意が必要です。
共同開発は、開発に美容師が関わった事実があれば、表記可能です。その部分を著しく強調したり、目立たせるとガイドラインに抵触する可能性があるので、あくまで事実に基づいた表示をするということです。
まとめ
「抜け毛改善」については、医薬部外品と化粧品の場合で表現が異なるため、それぞれの効能効果の範囲を踏まえて広告表現を考えなければいけません。その違いを認識できていると広告表現のリスクも把握でき、とても役立つと思います。
美容室でヘアケア商品などの化粧品を販売する際も、美容師推薦の広告を謳わないよう注意しましょう。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
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